坐禅作法・禅堂作法 曹洞宗


禅堂作法の動画

1分10秒あたりから、女性のモデルによる禅堂作法が始まります。


【服 装】

・坐禅中は靴下・パンストは脱ぎます
特に規定はありませんが、身体をしめつける服装はNGです
ジーンズは、脚が痛くなりやすくしびれやすいです
いずれも快適な坐禅には不向きです

できれば、地味な色系のものがおすすめです。赤や縞模様などを着て横で坐禅されると目がチカチカする場合があったりしますので、寺院などの坐禅会でも地味な色をすすめています。



【坐禅作法でよく間違える点】

(1) 禅堂を入ってから合掌して低頭(ていず=お辞儀をすること)   間違い⇒禅堂を入る前に低頭してから入る
 禅堂というのは、外単を除外しています。外単ではなくて、内単に入ってから合掌低頭です


(2) 自分の単に進むのに最短距離で進まない・文殊菩薩(聖僧様しょうそう)の前を横切らない 
 つまり、左足から一歩入って、一歩進んでから、合掌低頭して、自分の単に向かいますが、その時、文殊菩薩、師家の前は横切らない
 (会社の会議で社長や役員の席の前を横切らないのと同じです)
 時には、坐りたい単に行くのに大回りとなります

 進み方は、寺院によっては坐禅堂の入り口に模式図で矢印で書いてくれている所があります



内単で坐禅する人:禅堂を外単を通って入り、前門の敷居をまたいで左足から入ったところが禅堂内部(内単)です。
左足で入ったら、さらに一歩進み、そのまま(身体は斜めにせずに)聖僧様(禅堂の仏様・文殊菩薩像)に対して合掌低頭(ていず=合掌してお辞儀をすること)して、上図の矢印のように進みます。
        
在家対象の坐禅会では、図の首座位、後堂位、単頭位、西堂位は,実際には僧侶が座っている訳ではありませんので、気にせずに着座すれば良いと思いますが、
専門道場で一般人が坐禅を許されている場合は、西堂位やその隣には役目を負っている人が着く場合があるので、慣れていない坐禅会では避けたほうが賢明です
あとからその人が来てここは空けてくれと言われるとまた新しい場所を探す必要があるからです。


外単で坐禅する人:本式の道場では、外単の上座には、役目を負っている僧侶が坐禅します(早い目に禅堂を出たりできるから) また、外単の下座には、暫到僧(まだ正式に入門を許されていない修行僧)や旅の修行僧が坐禅します。




(3) 坐禅の初め、終わりに必ず、左右揺身を左右で八回する(上記動画2:00くらいからをよくご覧ください ただ貫道老師はもっとゆっくりされています)    
間違い⇒他の人に合わせるために左右揺身など早くやって早く立ち上がる


(4) 経行(きんひん)=歩行禅(叉手してゆっくり歩きます)の時、終わりの合図があれば、その場で叉手のまま低頭(ていず=お辞儀をすること)   間違い⇒合掌して低頭  臨済宗ではそうしますが曹洞宗では叉手のまま低頭です


(5) 禅堂を出るときには、そのまま右足から出るのみでお辞儀とかはしない   間違い⇒180度身を転じて聖僧様に向かって合掌低頭する これは臨済宗でのみする作法




禅堂作法の図解⇒ http://www.sotozen-net.or.jp/propagation/zazentop/saho



三黙道場
坐禅堂・東司(とうす=便所)・浴司(風呂場) は、会話一切禁止の場所



お寺のお坊さん(僧侶)の呼び方
一つの寺院に一人のお坊さんがいるわけではありません

「住職」:寺院の管理人、宗教法人の代表役員  「ご住職」と呼びかける
「方丈 ほうじょう」 さん  ご住職より柔らかい呼び名  「方丈 ほうじょうさん」と呼びかける
昔は本堂の須弥壇裏の一丈四方の狭い場所が住職の居所だったので、方丈と呼ぶわけです
ちなみに原則本堂は南に向いていますので、須弥壇の裏側は北に面していて、湿気るし、寒い場所です

年輩の方の僧侶が住職とは限らないです

寺院にいる住職以外のお坊さんは、
和尚さん
で良いと思います。
元来和尚とは、教師 という意味ですので、和尚さんは先生さんと呼ぶのと同じで、さん は不要ですが、在家の人が呼ぶ場合は、さん付けしたほうが良いです。
ちなみに、住職同士の集まりなどでは、姓で呼ぶ代わりに、◯◯寺さん と寺院名にさんを付けて呼びかけます

和尚 は 法階 なので、和尚 になっていない僧侶もいるとは思いますが、おしょうさん で良いです。
関西や福井では、おしょうさん と同じ意味で「おっさん」と呼びかけます  アクセントは「お」にありますので、いわゆる「おっさん」とは異なるアクセントです

住職かどうか分からない場合は、ご住職と言わずに「和尚さん」
そのお寺にたくさん僧侶がいる場合、姓を知っているならその姓で◯◯さんとか呼んでも良いですし、
諱(いみな 得度した時にいただく戒名)を知っているなら、諱で◯◯さんと呼んでも良いですが、
諱で呼ぶのは、若い僧侶以外は避けたほうが無難です。

副住職がいる場合もあります  「副住さん」と呼びます。


「老師」:仏道の指導ができる和尚  そこの住職かどうかは問わない  師家(しけ)とも言う
ただ最近は尊称として老師が乱発されている傾向はある

「東堂老師(とうどうろうし)」:その寺の住職は引退した老師
  


専門僧堂の禅堂の中には、四隅に
「堂頭老師 どうちょうろうし」
「西堂老師 せいどうろうし」
「後堂老師 ごどうろうし」
「単頭老師 たんとうろうし」
がいます(下図参照)

専門僧堂ではないが、一般寺院で結制(けっせい)が布かれるときにも、
このような老師が役割として存在し、法縁や近隣の寺院の和尚がその役を司ります


修行僧のトップで堂頭老師のすぐ横に坐っている僧侶を「首座しゅそ」と言います(上図参照)
昔の中国などの禅宗の語録などで、首座が登場しますが、当時は、師家に代わって法を説くことのできる力量のある者が首座となりました
首座は、当然開悟している修行僧です

現在の専門僧堂では、みんな資格をとる必要があるので、首座は道場の修行僧が順番になります  首座を経験しないと和尚になれません
その法戦式のことを首座法戦式(しゅそほっせんしき)と言います
なお、得度の弟子が首座になると、師匠である和尚は、「和尚」から「大和尚」に法階が上がります 宗門での位の話です。
大和尚になると、緋の衣つまり赤い衣が着用できます。


ちなみに、和尚おしょう というのも、元来、人の指導者である僧侶という意味でしたが、ある程度の修行をすると皆和尚と呼ぶようになったので、
明治以降は、老師という呼称が出現しました
中国で禅が盛んだったころの、百丈懐海禅師にしても、黄檗希運禅師にしても、臨済義玄禅師にしても、
それぞれ百丈和尚などのように「和尚」と呼ばれています。老師という言い方は当時ありません。

老師は現代中国では、先生という意味です 学校の陳先生は、陳老師 です


禅師ぜんじ:曹洞宗では、二大本山の永平寺貫主・総持寺貫主、曹洞宗管長を務めた僧侶を禅師と呼びます つまり宗門の一番の出世頭
立候補した候補の中から選挙にて選出されます
宗教組織というヒエラルキーの中で、1番立身出世を遂げた階級です。

良寛和尚は、永平寺のことなど眼中になく、一緒に修行した仲間が永平寺の禅師様つまり宗門のトップに出世したこともありましたが、
近くを通っても挨拶にも行かなかったようです。衣も一生破れ衣だったようです。
臨済宗を再興したとされる江戸時代の白隠和尚は、妙心寺の法階などには目もくれなかったので、法階は低く、黒い衣しか着る資格がなかったようですが、
本人はそんなことに一切頓着しなかったようです。
そのため、本山妙心寺に登って説法を頼まれても、法階が低いので、下座から提唱をされたようです。
そのことで、現在の臨済宗の師家(臨済宗で老師と呼べる唯一の資格)は、道場では、1番下座から本尊さん側を向いて提唱します。


明治以前は、現代の人から観て高僧だと思われる禅宗の僧侶を禅師と呼びます ぜんし ではなくて、ぜんじ と濁音で読みます

ただし、現在、亡くなった和尚は、墓や位牌には、戒名の中に、皆禅師の文字が含まれています 修行僧のままなくなった場合は、禅師とは呼ばれていません



寺院作法も合わせてご参照ください ⇒ http://e-temple.info/jiinsaho.html